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[orca-users:07577] Re: 改題: IT政策パッケージ2005
- To: orca-users@xxxxxxxxxxxxxx
- Subject: [orca-users:07577] Re: 改題: IT政策パッケージ2005
- From: Takaaki Abe <takaaki_abe@xxxxxxxxxxxxxxxxx>
- Date: Sat, 05 Mar 2005 12:12:58 +0900
皆様、こんにちは。
安陪隆明@鳥取県鳥取市、安陪内科医院です。
>> つまりORCAの出力を、アルバイトを雇って手書きで写すのだそう
>> です(^^;) この場合、電子的審査による減点の増加と、アルバイト料と
>> どちらの値段が高いか、というのが判断基準になりますね。
>
>これを保険者が人手を使ってコンピュータ入力しますので,
>その人件費も査定という形でモトとられますよ.
>歯科ではとっくにそうなっているようです.
これが一番最悪の未来ですよね(^^;)
信頼関係やルールが築けないことにより、人手もかかれば
効率も悪い、結果的に人件費がかかる分だけ医療関連の費用が
押し上がる、という世界になってしまいます。
現在のレセプトの形態として、
1.手書き
2.レセコンからの印字
3.電子的レセプトデータ(レセプト電算処理)
の3種類あるわけですが、上記のことを考えると、今後は
「人を雇って電子データにしないといけないのだから、その
かかった人件費の分は減点にするよ」
と言ってこないとも限りませんね。
>病名と検査,処置,投薬の関連がついてないのに自動チェック
>可能なのでしょうか?
上記質問は3.電子的レセプトデータ(レセプト電算処理)に
ついてのものだと思うのですが、2.レセコンからの印字の
レベルから考えてみると…
確かにレセプトの紙をOCRにかけただけでは、文字そのものは
認識されてもデータとしての構造化されません。じゃあ、それを
使っての電子的審査は無理かというと、私はそうは思いません。
OCRから読み取ったばかりの構造化されていないテキスト
データを、構造化するソフトを開発して使用すればよいからです。
レセプトに書いてあることというのは、そのほとんどが
「保険点数になること」ばかりです。つまりほとんど
「保険点数になる単語」しか書かれていません。その他の
ものとして人体各部とか、何個、何枚使ったとか、そういう
データですよね。ということは、
「保険点数になる単語辞書(適応病名、薬価収載薬剤名、処置名等)」
「人体各部名称辞書」
を用意しておいて、それらの言葉とパターンマッチさせる
アルゴリズムで、構造を解析すればいいのです。
言うなれば、英文を日本文に和訳するソフトの構文解析と
同様の原理であり、英文和訳ソフトが、自然言語を対象に
汎用的な意味の認識をしないといけないので、かなり大変なの
に対して、レセプトの構造を解析するソフトは、比較的意味の
分類が限定された言葉の羅列のみを扱えば済むため、英文和訳
ソフトよりも簡単なアルゴリズムで、かつ高いヒット率で、
コンピュータに「意味」を認識させて構造化させることは可能
だと思いますよ。そういうソフトを作って使うことが、そう
難しいことだとは思えません。
OCRレベルでもそうですから、CSVになっている電子的
レセプトデータ(レセプト電算処理)は、もっと容易な筈ですし、
確か石津先生のソフトを使っている倉吉のK先生のところは、
レセプト電算処理のデータを使ってのチェックのみで、
目視でのチェックはしていないと鳥取県医療情報研究会で
発表されておられませんでしたっけ?
http://www.yuragi.jp/tijk/tijk3.html
>2005年末までにやれば良いんじゃないですか?
いや、一年じゃ無理でしょう(^^;)
そもそもこの問題は、まだレセプト電算処理が本格化する前
から問題になっていました。平成10年のCOMINES
http://www.yuragi.jp/comines/comines12.html
の当時自分が書いたものを引用すると、
>導入の際、最大の問題点と思われる「保険審査強化」
>「統制強化」の問題については、医師会内部より
>「保険支払機関が機械チェックしてもかまわない」
>という話が出ていました。ただしその際にはチェック
>プログラム公開することを条件としたいということで
>した。また統制強化については、日本医師会にも
>同一データを提出して、医師会側も反論できる情報を
>持つようにしようという提案がなされていました。
この頃からこういう話は出ていたわけです。
にもかかわらず、5年間、ろくにこの問題の進展はありま
せんでした。
現状では各都道府県レベルで担当者がさまざまな状況を
勘案して審査しなければいけないが故に、各都道府県の
格差が存在する。そのような曖昧な現実があるところに、
全国一律にクリアカットなアルゴリズムを作りましょう、
などという話は、「総論賛成各論反対」の嵐となって、
これを作成する責任を持った方々は袋叩きに合うことが
目に見えていました。
スムーズにいっても3,4年。下手すると10年経っても
できないでしょう。
>どうしてこういう発想になるのか、理解できないな〜。
>診療の内容って、そんなことまでした隠さなきゃいけないもんなん
>ですか?
>診療内容はすべて公開が、皆保険制度の基本かと思ってました。
>そうなるためには、診療情報をきちんと公開することが前提になる
>のではと思います。医師側に情報を隠蔽したいとう体質がある限り、
>国のいいなりにならざるを得ないのでは・・・。
いえ、これは「隠蔽」というレベルの問題ではなくて、
広義の意味での「デジタルデバイド」の問題だと思う
のですよ。
「隠蔽」というのとは少しニュアンスが違うように思って
います。何故なら「目視」する限りは、どのような医療行為
を行っているのかというのは、手書きでも印字でもわかりま
すからね。
コンピュータという「強力な道具」を、審査する側も審査
される側も「公平に使えるのか」というところが問題だと
考えています。
また「隠蔽」という意味ならば、
「どのようなアルゴリズムで一律に審査されるかわからない」
「審査アルゴリズムを勝手に決められて、それを公開してくれ
ないのではないか」
という医療機関側からの不信感もあるわけです。
そういう相互不信が起きないようにすることからまず始めな
いといけないのではないか、と考えています。
〒680-0841
鳥取県鳥取市吉方温泉3丁目811-2
安陪内科医院
Tel.0857-26-6675
Fax.0857-21-3131
安陪隆明
「とっとり喫煙問題研究会」
http://www.yuragi.jp/ttpa/
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