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[orca-users:04041] 日医総研への提案:ORCAに要約された臨床情報を扱う機能を



 安陪隆明@鳥取県鳥取市、安陪内科医院と申します。
 以下の文章を、

○ himedarumaメーリングリスト
○ ORCA-usersメーリングリスト
○ mml-scメーリングリスト

 に送らせていただきます。
 マルチポストのために重複して受け取られる方にお詫び申し
上げます。

 6月28,29日に岡山市で開かれた第17回地域医療情報ネットワーク
システム研究会(COMINES)に参加してきました。
 その中で日本医師会の西島英利常任理事より、

「ORCAのデータセンターは、レセプトデータのバックアップだけ
でなく、患者さんの診療情報のバックアップもできるような体制は
必要で、視野に入れている」

 という内容の御発言がありました。
 そのお話を聞いて、当地の中山裕雄先生と一緒に考えてみた
のですが…

「電子カルテの情報を共有して、病診連携やEBMに役立たせる
べきだ」
 という議論は以前からあり、私もそれに基本的に大賛成です。
 しかし、電子カルテデータのネットワークからEBMへと話を
広げていくためには「医療情報の標準化」というかなり大きな
障害を乗り越えなければならず、本当にこれが全国的に一般化
するためには、まだまだ長い年月がかかると私は考えています。

 その一方で、EBMへの応用こそ期待できないものの、現時点で
病診連携に十分役立つ情報ネットワークシステムとして、
「臨床サマリーなどの要約された臨床情報」
の電子化が注目されています。この点も今回のCOMINESでは
少なからず意見が出ていたところでした。
 実際、病診連携時に必要な情報は、電子カルテの情報すべてを
見なければいけないケースは比較的少なく、大部分は臨床での
サマリーやその患者さんにとって重要な問題点を列挙した簡要な
記載されあれば、それが有用であるケースが少なくありません。

 しかしこのような「臨床サマリーなどの要約された情報」に
しても、大事な個人情報であり、それをネットワークで扱うため
には、きちんとした認証や、高いセキュリティを要求されます。
 また災害時や患者さんの転居時のことを考えれば、この情報は、
なるべく広域のネットワークで運用された方が良いことは言うま
でもありません。
 すなわち、認証局があり、高いセキュリティが保たれ、薬剤情報
の入力の手間がなく、なるべく広い範囲のネットワークが望ましい…
ということになると、まさにこの条件を備えたネットワークが今
作られようとされていることに気がつきました。
 ORCAのネットワークです。

 つまりORCAがレセプトデータだけでなく、
「臨床サマリーなどの要約された情報」
も扱うようになれば、そしてそれが、ORCAのデータセンターに集積
されるようになれば、その時点で私たちは日本全国どこからでも
その情報を利用できるネットワークを手に入れることができるわけ
です。
(もちろん、患者さんの同意を得た医師のみが閲覧できるような
仕組みが必要ですが)

 これをどういう技術で実現するかという事はいろいろな方法が
考えられますが、基本的には、EBMのように解析されることが
目的なのではなくて、あくまで
「人が読んで使うだけ」
 の情報ですから、フリーテキストエリアが1つだけあれば、
それで良いわけです。逆に何だかんだと構造化していくと、
かえって使いづらくなりますし、実装も大変になります。
 この条件にぴったりと合う技術は、
MML-経過記録情報モジュール(mmlPc:ProgressCourseModule)
における mmlPc:FreeExpression要素です。
 ORCAは既にCLAIMを実装しています。つまりMML基本構造を
提供するのに必要な技術はとっくに実装されています。
そしてそれをネットワークで扱う技術も実装されています。
 これにmmlPc:ProgressCourseModule要素とmmlPc:FreeExpression要素
の2つを付け加えれば、もうこれだけで上記のことが実現できます。
(つまりMML-経過記録情報モジュールのサブセットを実装すると
いうことです)
 もちろん入出力インターフェイスが必要になりますが、それに
してもフリーテキストエリアが1つだけの話で、たいして難しい
技術ではありません。逆にこれだけ簡単だと、電子カルテ側だけで
なく、ORCAそのものに実装したり、Windowsで動くこの機能だけを
持ったソフト(診療支援ソフトでもいうべきでしょうか)を作る
ことも容易なはずです。
(mmlCm:extRef要素やXHTML系要素を実装するかどうかは問題ですが、
個人的には必要ないと思っています)

(ちなみにMMLは臨床サマリー情報モジュールも規定されていますが、
これはかなり複雑な構造を持っており、上記の条件には合わない
と思われます)

 以上を総合して考えれば、

「ORCAが要約された臨床情報を扱う機能を持つこと」

 具体的には

「ORCAに、MML-経過記録情報モジュールのサブセット
(mmlPc:ProgressCourseModule要素とmmlPc:FreeExpression要素
の2つのみ)を実装すること」

 というのは、大変大きな意義があるように思われます。
 だからこそ、西島常任理事の

「ORCAのデータセンターは、レセプトデータのバックアップだけ
でなく、患者さんの診療情報のバックアップもできるような体制は
必要で、視野に入れている」

 という内容の御発言と絡めて、このことは是非検討する価値が
あることのように私には思えました。
 このことを是非、日医総研に提案したいと思います。

   安陪隆明
   〒680-0841
   鳥取県鳥取市吉方温泉3丁目811-2
   安陪内科医院
   Tel.0857-26-6675
   Fax.0857-21-3131
   abe_takaaki@xxxxxxxxxxxxxxxxx
   takaaki_abe@xxxxxxxxxxxxxxxxx
   http://www.abe.or.jp/
   http://www.yuragi.jp/playxslt/index.asp
   有機械者、必有機事。有機事者、必有機心。