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[orca-users:04907] Re: ORC Aに挑戦 そのニ(休日診 療所)



 電机本舗由井です。

>う。川崎市の医師会理事の方々の「日レセ」に対する関心もいまいちです。「パ
>ソコンおたくが変わったOSのレセコンで遊んでいる」くらいの認識です。これは

 開発メーカという異なる立場からこのMLをここ数カ月みてきました。
 弊社営業ともよく話をするのですが、おおむね同じ感想をいだいています。
 これはORCAのMLなのにDebia,Linux固有のトラブルに終始している観があり
「本末転倒よろしくない」と感じます。
 上手に分担を切りわけし、OS廻りは供給側のせいくらいにする考え方が必要で
あると思います。

>地区医師会はその会員のために責任もって「日レセ」をサポートしてくれる業者
>さんを組織する必要があると思います。そして「この地区のサポートの標準はこ
>のくらいで」くらいの金額の取り決めもあったほうがよいでしょうか。ベンダさ
>んも金額設定では苦しんでいるようですから「談合」するべきです。

 これは営業上の社内機密に属します。また、弊社でなはく他社にも影響を
与える可能性があり、投函を控えていましたが、

 1)当社は今回、Debian系Linuxに係わりました。従来は別系統のLinuxを
   かるく撫でるくらいの係わり方です。

 2)今回、Debianを入れるのに、約半人月程度のコストつまり一般的な
   下請ソフトハウスの人月単価80万(大手は150万からでしょうか)
   より約40万円くらいの経費をかけています。実際には信頼している
   米国留学中の情報処理専門大学生(現在4年)が帰国しており彼に
   プロトタイプを作ってもらいました。逆算すると情報処理系大学在学生
   が1〜2週間程度のパートアルバイトというのがDebian+ORCAの正味
   インストールコストであると判断できます。

 3)以上より、腕に自身のある方が2週間くらい試行錯誤するのがコスト
   に比較目安であると判断します。

 4)また、ベンダーの立場になると毎回作るわけでありません。一度マスター
   ができあがれば、以後は単純なHDDの複製、PCの組み立てとなります。
   ゆえに、40万円/出荷台数が人的な商品原価となります。
   ※これは、特定PCの限定が前提です。PCが異なると毎回ドライバの
    入れ替えなどが発生します。

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       ***

 5)結論として当社が到達したのは、Debian+ORCAのインストールでは
   「金はとれない」ということです。特に今回のケースは他人の作った
   ソフトを入れて設定するというだけ状態です。いかに繁雑であれ、
   自前で何かを作っているわけではない以上、「金は取れない」という
   ところです。弊社は過去、自社開発したものを売る商売です。なおさら
   「人の作ったものでは金はとれない」という思いがあります。

 6)PCのコストは、安いDOS/Vが3万円で買える時代です。ただし、業務用
   としての使用を考えると耐久性も考え、最低でも5万円以上の機種である
   こと。および、これが重要なのですが、Linuxが安定して動く機種、
   安定供給の期待できるモデルであることが必要です。弊社ではマザーボード
   メーカと相談して息のながそうな安定モデルを採用しています。このあたり
   がコストとは直接関係のないノウハウなのかもしれません。

      ***
       ***

 弊社は結論として、「Debian+ORCA」は初期開発コストは安価であり初期費用を
多くとれない、そのかわり以下が奇麗な収益の源泉であるという判断をしました。

 1)インターネット接続も含めた、細かい接続、設置コンサルタント。
 2)毎月のメンテナンスサポート。

 2)についてはコスト算出が厄介です。月80万円のエンジニアが、月1時間程度
でリモートメンテナンスを行なうのであれば5000円が原価でしょう。
ただし、80万円の売り上げを確保するためには、160端末/人なり、営業上
維持が困難でしょう。
 主観では2万円前後が良い線ではないかなと思います。

 この慢性不況の状態で、各社も抱える要員に如何に仕事を与えるかが頭の痛い
問題ではないでしょうか。殿様商売ができない社会状況があります。

 もちろんこの価格は、マニュアルを読むかわりにベンダーに電話をかけるようで
は
前提が狂います。

 パッケージ業界の神話では、「ユーザの5%が、全サポートの50%を占める」
というのがあります。物わかりの良いユーザはサポートはほとんど発生しません。
逆に、自助努力のないユーザは、再現なく資源を消耗します。

 漫然となりましたが、サポートのコストは1300円/件がやはり業界神話
であると思います。有名な逸話ですが、現ソーテック社の田中耕輔専務がTVの
取材で、同社のテクニカルサポート1件の人件費を1300円(少し記憶があいま
い
ですが)と分析しています。

 これがパッケージ、PC業界の一つの目安として見て良いと思います。

 また工業製品としてみると、毎月、人月単価80万もかかるエンジニアが
貼り付いていないと動かないものは不良品です。このようなものは、メンテに
力をいれるより、欠陥を直した方が賢明です。


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 電机本舗
 技術担当:由井清人
 k-yui@xxxxxxxxxxxxxxxx
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