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[orca-users:01006] Re: 守秘義務違反か否か
- To: orca-users@xxxxxxxxxxxxxx
- Subject: [orca-users:01006] Re: 守秘義務違反か否か
- From: "Katsuhiko Ito, MD" <kt-ito@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx>
- Date: Sun, 23 Jun 2002 17:44:34 +0900
いいだしっぺとして私の考えを申し述べます。
医療機関の間の情報交換は「患者の便宜を図る」ことであることが前提です。
まず医師間の「紹介状」ですが,紹介先の第三者の医師に患者の情報を委譲する
のに,私達は患者から(口頭で同意を得る場合は少なくないですが)承諾書をい
ただくこともなく,その上保険制度上の紹介料金(保険点数)まで頂戴していま
す。患者は紹介先へ自分の病状などの情報が譲渡されることにメリットを感じて
いるでしょうからトラブルになることは少なく,違法性もないものと思います。
同様に医療・介護保険制度のもと,「ねたきりのお年より」に対して診療所・院
外薬局間では「情報提供」が制度化され保険点数もついています。この情報には
病名を含むあらゆる内容が包括されます。この場合は患者から口頭で同意を得る
こともなく承諾書をいただくこともありません。診療所から所轄保健所への情報
提供も制度化されています。
医療・介護保険法制定において,厚生労働省,というより行政府・立法府の判断
としては,医師間・医師/院外薬局間の情報交換に違法性はないものと判断して
いると考えて差し支えないものと思われますがいかがでしょうか。
直接関係しませんが,介護保険においては介護サービス業者が一人の利用者の情
報を共有しあっています。「サービス提供者会議」が制度(義務)化され,診療
所・薬局を含む複数(多数)の医療・介護機関の情報交換が必須になっておりま
す。介護業者に対して倫理的な「守秘義務」は課せられていますが,罰則規定は
ないと思います。
けだし,患者がメリットを感じえる制度である限り医療機関の間の情報共有には
トラブルは少ないと思います。しかし,診療所/院外薬局間の情報交換を快く思
われない患者も出るかもしれません。医療機関の間の情報共有に対して患者から
異議申し立てがあった場合日本のapt,司法はこの整合性(dependencies)をど
う判断するでしょうか。現状の法制にバグがあるのでしょうか。
今後ORCAなどで医療情報がオンライン化された場合には,「院内掲示」などによ
る広報,患者に情報の共有を拒否する権利を保障する,などの配慮が必要と思わ
れます。
現在の法制では医療機関の間の情報共有は適法である,が私の判断です。あくま
でも「漏洩」が問題なのであって,患者の便宜を図る医療機関の情報共有は円滑
になされるべきであると考えます。そのための道具,ORCAの発展を期待いたします。
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伊東 克彦:Katsuhiko Ito, MD, PhD, FJSIM
宮前平内科クリニック:Miyamaedaira General Practice Clinic
TEL:044-860-4119, FAX:044-860-4199 (+81-44-860-4199)
mailto:kt-ito@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
http://www.miyamaedaira.com
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